齋藤孝 『なぜ日本人は学ばなくなったのか』
齋藤孝の本を読んでいて、インテグラル思想と共通する問題意識を表明している箇所があり、目を見張った。しかも「垂直」と「水平」という、インテグラル思想にとって非常に重要なキーワードを用いて。
(前略)明治時代以降、「書生」という社会システム(慣習)や旧制高校的教養主義などを通じ、自己形成していく若者は数多くいました。自分を超えたもの、自分より大きなものに敬意を払い、それと対比して垂直的に自分を掘り下げたり、あるいはそこに向かって自分をつくっていったわけです。
しかし今は、自分という核を持たないまま、ひたすら水平的に「何かいいものはないか」「おもしろいものはないか」と探し回っているだけ。最近の世の中はこれを「自分探し」と称していますが、こういう風潮が始まったのは一九八○年代ごろからです (pp.16-17)(*太字は引用者)
齋藤孝は、一般に影響力を持つ知識人(というカテゴリー自体が消滅しつつあるように思えてならないが、それはともかく)の中でも、段階的発達や階層性という視点を持っているひとだと思う。やたらと個性を有難がる風潮を批判し、「型」を繰り返し体得することの重要性を訴えるなど、インテグラル思想との共通性も高い。彼の本は、内容の濃い薄いのばらつきがあるのが難だけれど、多くの人に読まれてほしいと思う。
齋藤孝 『なぜ日本人は学ばなくなったのか』 講談社現代新書
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